
黄砂が肺に及ぼす影響
1. 微小粒子が肺胞まで侵入
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黄砂はPM10(10μm以下)、さらにPM2.5(2.5μm以下)の超微粒子を含み、これらは気道の奥まで到達。
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肺胞にまで侵入すると、酸素と二酸化炭素の交換に悪影響を及ぼす。
2. 肺の炎症・酸化ストレス増加
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黄砂に付着した重金属(鉛・カドミウムなど)や有機化学物質(農薬、工業排ガス成分)が肺組織に刺激を与える。
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マクロファージが異物を除去しようと過剰に働き、慢性炎症反応が起きる。
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活性酸素(ROS)が増加 → 酸化ストレスによる細胞傷害。
3. 症状として現れる変化
症状内容咳・痰持続性の咳、黄色や緑色の痰が出ることも。息切れ軽い運動でも息が苦しくなる。喘鳴(ぜんめい)「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音が胸から聞こえる。胸の痛み肺胞炎や気管支炎に伴う鈍痛。
4. 悪化・誘発される病気
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気管支炎(急性・慢性)
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喘息の悪化
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COPD(慢性閉塞性肺疾患)
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肺線維症の進行
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肺がんの長期リスク(PM2.5曝露による)
黄砂には、単なる砂塵だけでなく、大気汚染物質や**有害重金属(鉛・カドミウム・ヒ素・クロムなど)**が付着していることが多く、これが健康に悪影響を与える大きな要因となります。
🧪 黄砂に含まれる代表的な重金属とその影響
重金属主な出所主な健康リスク
鉛(Pb) 工場排煙、燃料、塗料、鉛蓄電池神経系障害、貧血、腎機能障害、発達障害(子供)
カドミウム(Cd) 非鉄金属製錬、バッテリー製造、工業廃棄物腎障害、骨軟化症、肺がん、イタイイタイ病
ヒ素(As) 農薬、鉱山廃棄物、半導体製造発がん性(肺・皮膚・膀胱)、
皮膚障害六価クロム(Cr⁶⁺) メッキ、染料、皮革製造強い発がん性、呼吸器障害、皮膚炎
ニッケル(Ni) 精錬、合金、電池材料アレルギー性皮膚炎、呼吸器アレルギー
黄砂に重金属が付着する仕組み
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黄砂の粒子は非常に細かく(PM10・PM2.5)表面積が広い
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工業地帯(中国内陸・韓国など)の大気汚染物質を吸着しやすい
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浮遊中に重金属成分や有機化合物(VOC、NOx、SOxなど)と化学反応を起こすこともある
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こうして有害物質をまとった状態で日本など下流地域に飛来
🫁 吸入時の体内反応とリスク
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微粒子は上気道→気管支→肺胞まで侵入し、重金属が血液中に取り込まれる可能性あり
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マクロファージが異物として反応し、慢性的な炎症・線維化を引き起こす
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長期暴露により肺がん、腎疾患、神経毒性などの慢性疾患リスク増大
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特に子ども、高齢者、持病を持つ人には深刻な影響